【第二分科会:Bコース】 健康と生きがいづくり:熟年者の活動

テーマ:熟年になっても生きがいを持ち元気に暮らすための
施設や地域での活動例をもとに話し合う。

■NPO法人緑の風景理事長:高松 雅子氏  ★コーディネーター

zenkoku09_f_clip_image002 NPO 日本園芸福祉普及協会の講師として、各地での養成講座で実習を担当し、60箇所約300の園芸福祉モデルガーデンの制作実習を見てきた。様々な経歴を持ち、いろいろな考え方をする人が集まって一緒にガーデンを作る。はじめは、話しにくかった人も園芸作業を通してだんだん楽しくなってくる。植物とは、自然 とはなんて素敵なものなのかとあらためて感動する。みんなで集まって一つのことを達成できる喜びを感じることができる。
現在、大学医療福祉学部の学生に園芸福祉講座をするとともに、数か所の高齢者施設で園芸福祉活動を行っている。同時にひろしまね園芸福祉協会として、初 級園芸福祉士資格を取得した会員に対して、植物知識・仲間づくり・園芸福祉プログラム作成などのスキルアップを目指し、植物活用講座・園芸福祉活動の場を 提供した活動を勧めている。
その中で園芸福祉士として高齢者施設で働かれる方、地域の活動で生きがいを見つけられる方など、多くの人が活動を始められてきた。
都会の生活は楽(らく)だけれど、田舎の暮らしは楽しい(たのしい)という話をよく聞くが、熟年者が、または熟年者とどのような場所でどんな活動を継続していくかは重要な要件になる。
この分科会では、パネリストの発表により、熟年者における園芸活動を通じた健康づくりとは何か、熟年者の介護予防・生きがいづくりについて、様々な活動を皆さんと考えていけるようコーディネートしていきたいと思う。(録音原稿がないため大会誌寄稿文から抜粋)

■くすのきカルチャーセンター講師:真利子 武久氏
zenkoku09_f_clip_image002_0000①園芸サークル「まりこ会」主宰。くすのきカルチャー教室全員を中心に32名が集まり、中央くすのきカルチャーセンター前で花の勉強会を実施していることを紹介。
②鹿骨五丁目町会・緑のボランティアが中心となって、鹿本通りの道端に朝顔を植え、「あさがおロード」として地域の方々に楽しんでいただいている活動を紹介。
③江戸川花卉園芸組合の活動紹介フラワーロード・花壇コンクール、花の祭典、バラ展の様子。(録音原稿がないため大会誌寄稿文から抜粋)

■NPO法人岐阜県園芸福祉協会理事:井上 いほり氏
zenkoku09_f_clip_image002_0001 高齢者施設で地域サロンをしている。施設入居の方だけではなく、近隣の方にも参加してもらい、入居の方、地域の方の交流の場を設けている。
そして花を楽しむためのプログラムづくりもしている。陶芸、絵手紙、折り紙、カードづくり、ヒーリングドッグ、茶会、紙切り。
例えば、陶芸は、自分達で粘土をこねて、2カ月かけて花器をつくり、その花器に花を生けて文化祭で飾るという一連の流れをつくった。また、夏場の花もちが悪いときは、花を絵手紙にして友達に送るなど。
何を言われても、どの場面で話を聞かされても対応できるポケットをいっぱいつくりましょう。
出会いの時間は参加の皆様が輝ける時間と位置づけて、今日は、これをやるんだと意気込むのではなく、自分が持っていったプログラムを皆さんと顔を合わせ たときに、アレンジしてバリエーションを変えること。そして、話には必ず耳を貸す。「待っとってね、後でね」という言葉は禁句にして。「はい」と必ず返事 をして耳を傾けている。
そして、職員さんとコミュニケーションを図って、その人なりの接し方を心がけている。そして作品、アレンジでも寄せ植えでもすべてのものができ上がったときは、その人なりの完成度を褒める。
今、施設は、ハンドマジック、井上マジックと言っていただいているが、枝の向きを1個変える。花の向きを1個変える。花の高さを1つ変えるだけで表情が変わる作品として、皆さんの驚きの声を上げている。そんな時間をつくりながら、実は私が一番脳トレと、それからこれからの道の勉強をさせていただいている。

■NPO法人おかやま園芸福祉普及協会副理事長:藤原 正子氏
zenkoku09_f_clip_image002_0002 2003年に定員40人の通所介護施設に勤務、日々20人から30人のご利用者の方たちと接していた。認知症はもちろんのこと、半身麻痺、視覚、聴覚障害の方に楽しんもらえるプログラムを考えてきた。皆さんに楽しんでもらうには、まず自分が楽しくなければということを一番大事に思ってやってきた。
2007年に地元にある職域生協が福祉介護事業を立ち上げるということで、移籍をした。移籍をした先が築70年の民家改修型のデイサービスで、一日の定員が10人というこじんまりしたところである。懐かしい家のつくりや庭先も広く、柿の木やさくらんぼ、それから切り花にできる花々も四季折々咲いていた。
畑にできるスペースもあり、活動の想像は膨らんでいった。スイカのあと、ダイコンとかジャガイモをつくっている。収穫したら、当然、食べる前に実際のものを持って障がいがある方でも一緒に手伝いながら持って、触れて、それで重さ当てのクイズをする。賞品は特にはないが、私の抱擁をあげる言って、ハグをしてあげるととても喜ばれる。
毎年恒例になっているのが、クリスマスツリーとお正月飾りのアレンジメント。ほとんど1年がかりで集めた廃材を利用してつくっている。
ハーブを使っての香り当てゲーム、目隠しをしても行っている。現物がなくても秋の花の名前を皆で幾つ言えるか、花の出てくる歌、野菜の名前、それを使った野菜料理はなど、楽しい雰囲気で、皆さんが好きなゲームの1つになっている。
皆さんと楽しんで園芸福祉を行うためには、準備が一番大切だと思っている。想定外のことが発生するのは当たり前、それも含めて楽しく過ごせることを実践していくことが大切だと思っている。

■豊作の会代表:川津 晴美氏
zenkoku09_f_clip_image002_0003 豊作の会ではいろいろの活動をしているが、その1つにデイホームと施設での園芸活動、園芸福祉活動、農園での園芸福祉活動をしている。施設での活動はある企業の経営するデイホーム、農園は、世田谷区立の公営のデイホームの方たちが訪れる。
まず、施設での園芸活動の特徴としては、室内での活動、季節に合わせたクラフトを中心に行っている。つくった作品は、お土産として持ち帰ってもらう。時にはその季節の歌を歌ったり、ゲームをしながら作業をしたりする。
1例として、この施設のそばに、招き猫のお寺があるので、それをもじって種や実を使ったペットボトルで招き猫をつくったりしている。
農園での園芸活動、園芸福祉活動は屋外での活動である。世田谷区内で、1,000平方メートルぐらいの農園を借りている。畑の収穫物は皆様へのお土産として持ち帰ってもらっている。たくさんの作物を栽培しており、アイ染めをやるためのアイを育てたり、農産物の加工、またそれを皆さんで試食する、食べたり飲んだりするそういうプログラムも取り入れている。
毎回、デイホームの送迎バスで15名前後が訪れる。ボランティアの皆さんと声をかけ合って、一人一人手を携えて、農園の散歩、夏は、ゴーヤのトンネルもあり、順番待ちをすることもある。トンネルから出たらそこは田んぼがあり、大体10m四方位の広さの中でコシヒカリ・赤米・黒米・緑米といろいろなお米をつくっている。
効果としては、植物を通して五感を刺激することにより、さらなる生きがいを見出せ、関係者みんなが楽しめる。手を使って、頭を使って、足を使って楽しむことを体で体験することを重点的に考えている。

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