【第四分科会】花と農を楽しむ暮らし

テーマ:園芸活動を通した地域づくりについて、市民農園や
コミュニティガーデン等の事例を基に話し合う。

■ファーマーズクラブ東葛西講師:浅岡 博行氏 ★パネリスト

zenkoku09_h_clip_image002 江戸川区ファーマーズクラブ東葛西は、3,550㎡の広大な土地で3月25日に開校した。周りはほとんど住宅と高層ビルである。苗と種と肥料と農具、資 材、それを我々江戸川区とファーマーズクラブのほうで全部用意して、利用者は畑へ来て、畑を耕して野菜を育てることを主体にしたクラブを立ち上げた。
区画は50区画で、1区画が40㎡、(約13坪)、年間利用料が50,000円。その中に耕作管理費と指導料及び苗、肥料と種代が全部含まれている。利 用者は家族またはグループが入園中で50組、ほとんど全部埋まっている。利用期間が3月1日から1月末までの約11ヶ月、希望により最長5年まで更新が可能になっている。
栽培野菜は、区が指定した野菜をすべての区画に同一に作付けをしている。収穫された野菜は基本的に入園者が自家消費する。講師は江戸川区と現役の農家で委託契約を結んだ私と、補助として今、農業ボランティアが手伝いに来てくれている。
クラブハウスは大事なものをしまっておくところ、パイプハウスが鍬、耕運機、資材置き場である。
今年は、3月に開校して、トマト、キュウリ、ピーマン、ナス、エダマメ、トウモロコシの6品目の種をまいた。利用者の半分以上が素人で、最初から畝づくりから全部教えて、種のまき方も教えて、それでやって何とか今年は無農薬で、夏野菜を収穫できた。こんなにおいしい野菜、スーパーと全然違うねという話が利用者から出てきた。
講習は月に2回、第1水曜日と第3水曜日にやっている。この講習に来られなかった人は、ハウスの中の掲示板に講習内容を全部書いておいて、私がいなくても作業ができるようにしてある。
我々の野菜づくりも緑の景観の一環として残していくスペースだと思っている。東京のど真ん中にこういう畑ができるスペースがあるというのは、緑の癒しの空間かなと思っている。

■手づくりのお花畑 はながさの丘管理人:押切 三晄氏
zenkoku09_h_clip_image002_0000 全国たくさんの市はあるが、花の字のつく市は2つ、花巻市と私の地元尾花沢市である。そこで花のまちづくりネットワークが組織されている。各地区、集落、グループごとに参加をして、まちじゅうを花で飾ろうという運動を進めている。
若い時代、スイカをつくろうということで、10年、20年、いろいろな苦労を重ねながら乗り切って、今の尾花沢スイカができ上がった。その経営のほうは息子へ任せて、今度は荒れ放題になってきたスイカ畑、ヨモギや何かで草いっぱいになった畑を耕して、花を植え始めたところである。
ポピーの苗を8,000株育て、それをみんなで植え込む。十何年間も一緒に取り組んでいる市内のひまわり保育園の子供たちと一緒になってヒマワリの種をまいて、200mの徳良湖に通ずる道路に咲かせる。
園芸福祉は私と私の娘2人だけが初級園芸福祉士になって福島の皆さんと一緒に活動させてもらっているが、福島の皆さんがバスで尾花沢を訪ねてくれた時の記念に植えたヤナギバヒマワリ(ゴールデンピラミッド)が花街道となっている。
はながさの丘は、ジャーマンアイリスが主力で、900品種、3万株ある。一斉に咲くと人でいっぱいになって、来年はライトアップ計画をしている。シャクヤクは5,000株あり、これも喜んでもらっている。ユリも20,000株あるので、結構見ごたえがあって、会員の皆さんには切り花をやってもらっている。
それからヘメロカリス、ヤマカンゾウとかノカンゾウ、ニッコウキスゲみたいな系統で300品種あり、5,000株が咲く。春からずっと夏、盆ごろまで切れ目なく花が咲くように心がけている。
池もつくって、尾花沢の在来のメダカを保護して、増殖を図っている。来年は大きなたらいを使って、花畑の中でメダカの学校を開校する予定である。
市の花ツツジ、イヌツツジ・レンゲツツジ、これが極めて自然の中で少なくなってきたので、その増殖もやっている。
これからの課題として、個人の力の限界を感じているので、NPO法人を今、検討中で、継続していけるような花畑に拡大していきたい。広大な土地がある。舞台があるので、その強みを生かして頑張っていきたいと思っている。

■NPO法人岐阜県園芸福祉協会サポーター:桑澤 宏康氏
岐阜県中津川は、5年前に長野県の馬籠と越県合併した市である。私はサラリーマンで、定年になる2年前に初級園芸福祉士の講座を受講、家内が1年先輩で、心強いパートナーになっている。
zenkoku09_h_clip_image002_0001定年になって、高齢化と少子化が進んでいる地域であり、活性化をしていくためにはコミュニケーションの推進が必要だということで、年代を越えた交流、遊休農地の活用が必要ではないかと考えた。園芸福祉の最終目的の1つは自給自足と思っているので、これを背景に活動を進めていくことになった。
まず1番目には、中津川市の南地区のヘルスウォーキングコースの市道沿い約200m、7ヶ所の花壇を約20名で手入れを行っている。会の名称は、ふれあいサロン「徳実会」。花壇をつくる、維持していく、ということだけでは人が集まらないので、前半は花壇の手入れ、後半がお茶を飲んで世間話、あるいはクラフトづくり、ゲームをしようと呼びかけ、1時から3時まで、1時間が花壇の手入れ、1時間がコミュニケーションの場ということにしている。
平成17年10月に立ち上げ毎月1回、第1木曜日で継続している。子供たちにも、花壇づくりを手伝ってもらったり、その後、ヨモギ大福をつくって、高齢者、大人とともに楽しんだり、時には男性陣による手料理も大変好評である。
2つ目の取り組みは、ソバづくりを通して地域の活性化促進事業。遊休農地がたくさんあるので、自分たちで安心・安全なものを食べようということで、5家 族10名でスタートした。みんなでソバを栽培して、収穫したソバ粉でソバ打ちして、多くの人たちと楽しむことを目的に持った。
やってみて感じたことは、食育、食の安全・安心に非常に関心が持てるようになった。自然界のすばらしいシステムとバランスに大きな感銘を受けた。
次にやってみたことは、他の地域へも展開して4つのグループが新たに立ち上がり、圃場面積も10aから28aに拡大している。来年は隣の土岐市のほうからも初級園芸福祉士の方がグループをつくってやりたいという話もある。
この活動の原動力は、農は皆で力を合わせて行うので、ほんとうに楽しい作業である。健康に感謝しながら仲間と一緒に同じことができる。安全・安心なおいしいものを食べる楽しさがあるからと考えている。
今後の展開としては、楽しまなければ続かないので、ブルーベリー、ラズベリーなど果樹を定植して楽しみたい。ソバは前作、栽培、収穫量のアップ、創作品を 手がけていきたい。さらなるネットワークの構築に向け、グループ化を促進していく。それから食育の充実としては、子供会とのコラボレーションをしていきた いと考えている。

■(特活)NPO支援センターちば:飯島 弘子氏
zenkoku09_h_clip_image002_0002 2004年度にスタートしたが、畑で主に野菜をつくっており、野田市内の全施設、知的、身体、精神障害者団体の施設が全部かかわっていて、野田市の社会福 祉課がその窓口になり、農地も農政課が窓口になって関わっていてくれる。そこにNPO支援センター千葉がコーディネート、そのバックに生協があるといった 組織である。
障害者の自立ということで始めたが、やはりボランティアの力が必要となり2005年度に、定年退職後の方たちを対象には初級園芸福祉士養成講座を開催。50aに畑を増やして、自分たちで、何もないとビニールハウスを建てることから始めた。
そして、2007年度から園芸福祉の取り組みが第2期を迎え、継続可能な体制づくりを進めている。生協の特徴である地域の資源を活用してという方針から 良質な堆肥をつくり、最終的には有機栽培で、そのまま口にしても安心という野菜をつくろう。あわせて、障がい者や高齢者の雇用支援の場も提供できるシステムづくりを進めることになった。
昨年、BMW技術システムというプラントを導入、食品の残渣、家畜のふん尿、畑でできた残渣、野田市の問題であったもみがらなども混ぜて良い堆肥をつくるという取り組みを始めている。
事業なので、1町歩まで畑を広げ、ビニールハウスも3棟借りて有機栽培の実験を進め、現在は良質な堆肥をつくるために堆肥センターも設立しつつある。こ れが可能になれば、地域の方に堆肥を分けながら、農業のネットワークをつくり、雇用の場をつくっていく想定であったが、ちょっと誤算もあり、今年の秋から 畑全体を花とハーブでゾーニングしていくような計画に変えた。
花の栽培は障害者の施設の方たちが、もう既に毎日のように畑に来て種まきなどの作業を始めている。
今後の方向性として、地域資源循環型の農業を基本として、名前をウェル・アンド・グリーンファームという事業を立ち上げる予定で、園芸福祉ファームも拡張して、ハーブとか、野菜のコンパニオンプランツ型で、特徴ある農園をつくっていく計画である。

■NPO法人千葉県市民農園協会理事長:廻谷 義治氏  ★コーディネーター
今、地球にとって、いろいろ話題が出ている。こういうものの解決の行く先に心の安定もあるし、世界の平和というものも見出せる。
それを確かなものにしていくのが緑の活動じゃないのかと、日ごろ思っているところと結びついた。
私の場合は市民農園というフィールドを使って、こういう活動を日常的に、長期的にやっているが、私たちの日ごろの花がいくらでも世界につながっていく。農園にスウェーデンの方が来ていただいたが、気軽にそういうものを発展させていく、それは非常に楽しい。まさに楽しくやっていくということが発展をさせていくということだろうと思う。
zenkoku09_h_clip_image002_0003 ロンドン市長が2012年のオリンピックに向けて2012カ所の市民農園区画を増やし、エコ都市ロンドンをアピールしていくことを取り上げている。
皆さん方のこういう活動、いろいろな各層の活動をしっかりと日常化させていくという中で、きょうのテーマの「ゆたかな心 地にみどり」というものが実現されていく。
そして日本は温室効果ガス25%削減という約束をして、いろいろな面から脚光を浴びている。そういうものも確かなものになっていくと私たちは思いたい。

ページの先頭へ戻る