第5回 2005年10月27日(木)~29日(土) 福岡県福岡市

■第5回園芸福祉全国大会inふくおか 2005年10月27日(木)~29日(土)

第5回となる今回は、福岡市役所を主な会場として開催され、延べ1,000名を越える方々が参集して多彩な情報交換が行われました。

政令指定都市での初めての開催でしたが、新しい試みとして導入されたトークショーやポスターセッションなども好評で、夕刻からの交流会も含め、参加された 方々は、様々な地域からの参加者と活発な交流をされていたようです。また、大会開催時には、「第22回全国都市緑化ふくおかフェア(愛称:アイランド花どんたく)」も開催されていたこともあり、フェア会場での園芸福祉活動の実践・体験の場として「園芸福祉の庭」の視察と合わせ、福岡のメンバーが実践活動をしている病院や公園の見学会も実施されました。

taikai

▼開催概要

008

主 催 園芸福祉ふくおかネット、NPO法人日本園芸福祉普及協会
福岡県、福岡市
主 唄 NPO法人 日本園芸福祉普及協会
運 営 第5回園芸福祉全国大会inふくおか実行委員会
日 程 平成17年10月27日(木)~29日(土)
場 所 福岡市役所15階講堂、福岡国際ホール等

 

▼第1日目:10月27日(木) 13:30~ 福岡市役所15階講堂

●特別講演 松村 賢治((社)大阪南太平洋協会理事長)
「旧暦はスローライフの知恵ごよみ~古き日本の知恵を見直す~」

002ヨットによる世界周航の旅で出会った南太平洋の人々から、環境共生社会~エコライフ~の大切さや伝承の必要性を強く感じられたそうです。また日本に明治5 年まで1300年もの間刻み続けられて来た「旧暦」に興味を持たれ研究を進めていくと、四季の移ろいを正確に予測できるばかりでなく、生活コストを下げ、 心豊かに暮らす生き方「スローライフ」の時間軸である事にも気づかれたそうです。都市と田舎のバランスの取れた発展には、いろり文化、農業体験、自然とのふれあい・・・など都市農村交流が必須と提唱。ご自身も建築家としての技術と世界を見てきた経験をフルに活かし「方丈庵21」を再生しスローライフを実践されています。自然や手作りの大切さを「旧暦」という時間軸にあわせることでより一層実感させられるお話でした。

●基調講演 進士 五十八(NPO法人日本園芸福祉普及協会理事長)
「都市社会と「農」――これからの園芸福祉活動」

003都市化が進んできた現在、農業の持つ他面的な機能を見直す必要がある。百姓という言葉は、一人で多くの能力を持っていることであり、その技術が、これまでのわが国を支えてきた。それが現代に入り専門化、工業化が進んだことにより、それが失われてしまっている。21世紀を迎え、あらためて、「農」の持つ効果 を見直すと同時に社会の様々な面で活用すべき時を向かえているという視点から、都市のなかで展開されている様々な「農」の活動事例を含め、都市生活のなか における「農」の必要性を話され、その実践としては園芸福祉活動は、誰もが気軽に取り組める活動であり、今後さらに全国に普及することを期待していると語 られました。

●トークショー/園芸福祉ば、語らんね
『都市型園芸福祉のすすめ』

004日本園芸福祉普及協会の吉長副理事長をコーディネーターに、特別講演・基調講演の講師2名、地元から九州がんセンター牛尾副院長、大会を支えた市民グループの園芸福祉福岡ネットの角銅さんを交えて、様々な角度から熱心な議論がされました。

会場からも意見や提案もあり、都市型園芸福祉にとどまらず幅広い分野についての熱い討論がされました。

 

●交流会

「よかよか交流会」 と名づけられた交流会には100名以上の方が参加。全国から来場の方へのインタビューや韓国から分科会発表に来られた方の挨拶など、地域交流から国際交流にまでにつながった会でした。最後は、祭り好きな方の多い博多ならではのどんたく踊り、参加者の多くが「しゃもじ」を持って会場内を練り歩くなど大変に盛 り上がりました。 006 005

 

第2日目:10月27日(木) 10:00~ 福岡市役所15階講堂、福岡国際ホール

●分科会:「緑いっぱい」分科会
会場に分かれ、以下の5つのテーマで行われました。各会場には50~80名ほどの参加があり、一部会場では事例発表だけで時間を費やしてしまった分科会もありましたが、熱心に耳を傾けていました。

第1分科会
「元気なまち」を取り戻そう~まちづくりと園芸~コミュニティ・ガーテンづくりを通して

007分科会趣旨:今日、ガーデニングブームも手伝って、さまざまな地域で多様な形態のコミュニティガーデンがあります。隣人関係が希薄な都市部において、交流 の拠点となるコミュニティガーデンには多くの期待が寄せられており、福岡では、庭と建物が一体となった新たなコミュニティガーデンが生まれています。本分 科会では地域交流、高齢者の生き甲斐づくり、共同住宅のコミュニティ形成などの観点から国内、外の先駆的な取り組みを発表いただき、都市型コミュニティ ガーデンの新たな姿について議論します。

コーディネーター:越川 秀治(コミュニティアーキテクト)
事例発表者:角銅 久美子(園芸福祉ふくおかネット)・原 千砂子(チェルシークラブINおおいた)・青崎 安孝(古賀市緑のまちづくり協会)・チェ・ジェスン(仁川大学教授)

 

第2分科会
「美しい国土」を引き継ごう~都市の子供の育ちと園芸~都市環境の未来を探る

008分科会趣旨:都市環境において、植物との関わりは、子供にとっては豊かな自然体験の可能性を秘めています。子供は、植物の育ちとの新鮮な出会いを通じて、 土と出会い、虫と出会います。そしてスーパーの棚の向側にある自然の循環を知り、都市の生活を見直す目を養います。そして都市では、子供と植物との豊かな 出会いは、人と人との関わりによってだけ生まれます。都市の子供の育ちについて園芸を通して考えます。

コーディネーター:近藤 加代子(九州大学大学院助教授)
事例発表者:尾上伸一(横浜市立下永谷小学校)・木下宏仁(福岡市立大名小学校)・平 由以子(NPO循環生活研究所)・堀内 幸弘(梶原ピッコロ保育園園長)

 

第3分科会
「生命(いのち)の力」を高めよう~医療・福祉と園芸活動~癒しの庭を考える

009分科会趣旨:病めるひと、心身に障害を持つ人などが花みどりと関わることによって癒されそして明日に希望を持てたという話は身近なところでよく耳にするこ とです。精神・リハビリから末期医療の分野、そして、知的・身体障害者の自立支援を目的とした分野まで、植物の持つ多面的な機能を生かした活動は多彩に展 開されています。この分科会では医療や福祉関係などの施設での庭づくりや療法的活用に関わる方々の発表を通して、園芸活動がもたらす役割や効果・効用について話し合います。

コーディネーター:近藤 まなみ((農)フラワービレッジ倉渕生産組合理事
事例発表者:山崎 博子(園芸福祉ふくおかネット)・野尻 眞(白川病院院長)・進藤 和昭((社)野の花学園施設長)・高松 雅子(広島国際大学医療福祉学部講師)

 

 第4分科会
「田舎暮らし」を楽しもう~交流と園芸~スローフード、スローライフの紹介を通じて

010分科会趣旨:産業の 近代化の中で置き去りにされてきた「田舎暮らし」は、私達が直面する様々な健康・環境にまつわる問題点に光を当て、新たなライフスタイルによる解決を目指 そうとしています。「スローフード」、「スローライフ」、そして、「グリーンツーリズム」という言葉が違和感無く受け入れられるのは、その質が本物指向で あり、個人の実践に委ねられているからだと思います。本分科会は、都市近郊の田舎暮らしに関わり、交流をキーワードに実践されている市民活動家、生産者、 そして、レストラン経営者を招き、時代を先取りした実践状況とその楽しみ、今後の方向性について議論します。

コーディネーター:朝廣 和夫(九州大学大学院助手)
事例発表者:近藤 龍良((農)フラワービレッジ倉渕生産組合理事長)・井上 信男((有)クローバー 代表取締役)・小林 和彦(NPO法人きらり水源村事務局長)・平岡 薫(ヒラオカ楽農園)

 

第5分科会
金持ちから時持ち社会へ ~都市型高齢者施設の地域貢献~ 造縁学のすすめ

011分科会趣旨:都市生活で高齢者は、例え家族と生活していても孤独感を感じるなど人と人のつながり(縁づくり)を求めています。また、都市部に急増してきた 老人ホームをはじめ様々な高齢者施設では、地域に開かれた施設づくりに取り組んでいます。自宅や老人ホーム内で行われていた園芸活動が、各種の高齢者施設 を拠点に地域に向けて展開することで、人生をゆっくり楽しみ、しかも安心できる社会づくりを提案できるのではないか。本分科会では、高齢者施設を拠点にし た県内外の実践例を紹介し、住民の意見も交えた議論をします。

コーディネーター:黒木 邦弘(西日本短期大学助教授)
事例発表者:佐々木 一成(西日本短期大学助手)・(特別養護老人ホーム仙寿苑)・井戸 誠二(岐阜県立国際園芸アカデミー専任指導員)・前川 良文((農)花みどりの里代表理事)

●「友達いっぱい」ポスターセッション『全国から~彩りあざやか、園芸福祉活動』

012私の、私達の、園芸福祉活動を伝えましょう。ということで、今大会から導入されたポスターセッションには、全国から21件の活動事例が寄せられました。(会場:福岡市役所15F講堂)
手づくりのポスターを通して活動を紹介しながら参加者との交流を深められたようです。いろいろな情報のやりとりや友達の輪が、日々の園芸福祉活動をもっと 楽しく、充実したものにつながったのではないでしょうか。見学者は、投票用紙を受け取り、1点1点のポスターや説明内容を聞いたうえで気に入った作品に投票、その結果は以下の通りです。

<金賞>
岐阜県園芸福祉サポーター 園芸福祉の輪を広げよう~イベントでのPR活動を通じて~
名張市園芸福祉普及推進協議会:名張市の園芸福祉の取り組み
<銀賞>
カモメ広場緑化活動:福岡沖地震によるかもめ広場仮設住宅の緑化
<銅賞>
福岡県立養護学校「北九州高等学園」:作業学習・職業体験学習活動報告
三重県科学技術復興センター農業研究部:バリアフリーイチゴ高設栽培システム

013

表彰式も行われましたが、「135人の閲覧者による評価ですが、個々の活動内容は全て素晴らしいもので、解説者として立ち会えない箇所など出展作品に順位をつけるのは心苦しいことでした。」というのは、審査を行った事務局の人たちの声です。

 

 

 ●園芸福祉フォーラム
014大会を総括して、今後の園芸福祉活動を考えるために設けられた園芸福祉フォーラム。岡本均大会実行委員長をコーディネーターに5つの分科会のコーディネーター担当に加え、初日の講演講師も登壇して、各分科会での討論内容の報告をもとに、会場との意見交換もされました。
韓国から分科会発表に参加され、大きな集合住宅団地の緑化に取り組まれているという大学教授からは、園芸福祉の活動は、日本国内のみならず、韓国でも参考になるとの発言もあり、全国大会にとどまらず、国際大会ということも、今後、考えられるのではということで締めくくられました。

 

 

 第3日目:現地視察(緑化フェア会場・古賀市園芸福祉農園・九州がんセンターの3ヶ所)

最終日は、9月から開催中の都市緑化フェアの会場を含め、3ヶ所の視察会。地元の初級園芸福祉士を中心に実践活動が進められている会場です。都市緑化フェア会場には、「園芸福祉の庭」のコーナーも設けられ、多彩な実習会が展開されています。(写真右)

2ヶ所目は、福岡市隣接の古賀市総合運動公園グリーンパークの一角に福祉ゾーンにある介護予防支援センターに付属して作られた園芸福祉庭園“ふれあいガー デンあい”があり、苗づくりから花壇・畑づくりを通して、元気まちづくりの各種活動を始められています。(写真中央)

3ヶ所目は、特別行政法人九州がんセンター「癒しの庭」。8月には初級園芸福祉士養成講座が開催され、実習会場としても使われています。現場で副院長から、医療面での効果などの説明もありました。(写真右)

参加された方々は、それぞれの希望会場を視察、熱心な意見交換がされました。

015 016 017

第4回 2004年9月2日(木)~4日(土) 静岡県浜松市

第4回:園芸福祉全国大会 in しずおか 2004年9月2日~4日

大会期間中は、全国から延べ2,000名以上と、当初の予想を大幅に上回る参加をいただき、関心と期待の大きさを実感した大会となりました。全国から参加された皆様、ありがとうございました。


開催趣旨:社会経済やライフスタイソレ等が大きく変化している現在、安全で安心な食料の生産やゆとりある居住環境の創造が求められており、自然と共存する農村や農耕、園芸が持つ役割が見直されております。この様な中、「花や野菜を育てて、みんなで幸せになろう。」という園芸福祉の活動が全国で始まっており、園芸療法や高齢者福祉、環境保全、地域づくり、さらには情操教育まで、幅広い分野での園芸福祉の活動が期待されております。
障害の有無や年齢、性別などに関係なく、あらゆる人々を対象としたこの活動は、静岡県で推進しているユニバーサルデザインの考え方と共通することから、静岡県ではこれを「ユニバーサソレ園芸」として推進することとしております。
ユニバーサル園芸(園芸福祉)は、農業、教育、医療、福祉、環境など多くの分野に関わる概念です。世界最大級の国際園芸博覧会である「浜名湖花博」が開催されているこの機会に、関連する様々な分野の人々にお集まりいただき、NPO法人日本園芸福祉普及協会が主唱する園芸福祉全国大会を開催することで、ユニバーサル園芸(園芸福祉)を大きく飛躍させる契機としたいと考えております。
4今大会では、開催テーマとして「つなげようグリーンネックレス!」を掲げました。これは、植物をバトンにし て、ユニバーサル園芸(園芸福祉)に関わる多くの人・団体が、相互に、情報交換や人材活用などを行い、ネックレスのように連携し合うことによって、誰もが 幸せになるというユニバーサル園芸(園芸福祉)の活動を表したものです。このユニバーサソレ園芸(園芸福祉)を通じたグリーンネックレスの輪が、静岡県から全国に広がっていくことを期待し、活発な議論、提案の場としたいと考えております。(大会誌より)


9月2日(木)第1日目:アクトシティー浜松中ホール
県内外の高校生を含め、1,000名以上が参集、熱気あふれる大会となりました。
●13:00 開会式
実行委員長挨拶、静岡県知事挨拶、浜松市長・農水省等来賓挨拶、開会宣言)
●13:30 基調講演 「“しあわせ”を育む園芸・農業」
講師:木村尚三郎氏/静岡文化芸術大学学長(東京大学名誉教授)
1これまでの歴史や海外での動きなども含めて農耕や園芸を
通じた人々の“幸せ”について語っていただきました。
15:20 ミ二コンサート
音楽の街浜松ならではのミニコンサート。
市内養護学校の生徒さんによってサンバの曲を中心に
活気あふれる演奏と踊りが行われました。
15:50 園芸福祉の普及の向けて

3<講演>「自然・緑・農から「園芸福祉」へ」講師:進士五十八氏/日本園芸福祉普及協会理事長、東京農業大学長
いま、何故「園芸福祉」が大切なのかについて、①都市と工の時代から農の時代へ、②生産学から生活学へ、③経済福祉から環境福祉へという時代背景とともに、①人間と自然、②ひとと「緑」、③市民にとっての「農」、それぞれの関係から、活動の可能性や今後の方向について、わかりやすく話されました。
<静岡県下の取組み紹介>浜名湖花博におけるユニバーサルデザインの取組みについて/静岡県におけるユニバーサル園芸の取組みについて、それぞれの団体から説明がありました。

218:00 交流会
200名近くが参加、地元の食材を使った料理に舌鼓をうちながら、活発な交流や情報交換が進められました。 また、’89年第7回インターフローラ・ワールドカップで日本人初のチャンピオンとなり、’98年の冬季長野五輪では表彰式用ブーケデザインを担当された、フラワーデザイナーの村松文彦氏がフラワーアレンジメントのパフォーマンスを披露してくださいました。その作品をバックに参加者全員の記念写真を取りました。

 


9月3日(金)第2日目/アクトシティー浜松コングレスセンター会議室
●9:30 分科会;7つの分科会には、50~100名と全体で約600名が参加、
園芸福祉の様々な可能性について、事例発表を含め熱心な討論がされました。
・第1分科会:医療現場における園芸療法の実践に向けて
はなみずきクリニック院長 鈴木節夫氏をコーディネーターに、パネリストとして県立こころの医療センター作業療法士 岡庭隆門氏、アドバイザーとして広島国際大学医療福祉学部教授・日本園芸福祉普及協会副理事長 吉長成恭氏が参加、病院、高齢者福祉施設などにおける園芸療法の導入の意義や効果などについて報告するとともに、これから園芸療法を導入するにあたっての現場の具体的な悩みや問題点についてどのように解決していくかが話し合われました。

7・第2分科会:障害者の農・園芸就業
浜松市で障害者を雇用して農業をしている京丸園園主 鈴木厚志氏コーディネーターに、 パネリストとして、オランダのライスヴァイク市地域社会授産機関シオンスガーデン所長 クレメント・ノーテンボーム氏、障害者、心の病気の方などの生活支援・生活相談にのっている生活支援センターだんだん所長 伊藤泰治氏、広島県呉市の知的障害者更生施設野呂山学園統括部長 小田原裕紀氏、 アドバイザーとして群馬県のフラワービレッジ倉渕生産組合理事 近藤まなみ氏などにより、 福祉施設や農業者に対する福祉施設や農業者に対するアンケート結果の紹介やオランダの 授産施設(栽培部門)での取組みなど、障害者の園芸就業にかかる実践事例をもとに ジョブコーチの必要性などについて話し合われました。

・第3分科会:青少年の「生きる力」を育てる園芸活動
8コーディネーターとして県立田方農業高等学校教諭 久保田豊和氏、パネリストとして92年よりアメリカを舞 台に、死と向き合う人々の最後の生き方、自然や動物との絆がもたらす癒しなどをテーマに取材を続けているフォトジャーナリスト 大塚敦子氏、草花クラブ員 達とアジサイの育種・新種開発を行い障害者施設での苗の共同栽培を進めている京都府立桂高校 教諭 片山一平氏、小学校を中心とした世代間交流事業「美しい街づくり福岡」の活動へ発展しているEWBL/花のアトリエ代表 木村三重子により、米国の 少年更生施設でのガーデンプロジェクトの事例や国内の農業高校・小学校などでの取り組み事例を素材に、園芸活動が情操面を含め青少年の生きる力を育てることにどのようにつながるか話し合いまました。事例発表として田方農高、桂高校生徒・OBなどの発表も行われました。

・第4分科会:庭がなくてもガーデンライフ~農園芸のある暮らし~
コーディネーターは、千葉県市民農園協会会長 廻谷義治氏、パネリストとして埼玉県さいたま市でグループホームを展開している(有)福祉ネットワークさく ら 小川志津子氏、サッポロビール(株)静岡工場総務部副部長 根本孝行氏、静岡県の平岡楽農園利用者 小池矗征氏、島根県石見町ふぁいん倶楽部代表 松本弘江氏などにより、心豊かな人生を送るためには、庭の有る無しにかかわらず生活の中に園芸があることが大切であること前提に、様々なかたちで園芸を実践 している方々からの報告をもとにガーデニングライフの場をどうやって確保し、発展させていくかについて話し合いました。

・第5分科会:花の庭から集いの庭に~園芸福祉を地域づくりに活かす~
9コーディネーターとして都市の緑地計画、景観設計から様々な緑のまちづくりプロジェクトに”市民派コンサル”として参画しているコミュニティアーキテクト 越川秀治氏、パネリストには自家遊休地を利用した園芸福祉活動を行っている栃木県のエム・グリーンデザイン代表 茂木正行氏、埼玉県川越市でNPO法人土と風の舎 を主宰している上原すみれ氏、天竜市天竜花の会 向井喜美氏、静岡有機循環コンサルタント協同組合 小林召二氏などによって、コミュニティガーデンや市民農園 など地域の様々な場での事例をもとに、いかに園芸活動を地域づくりに活かすかについて議論を深めるとともに、地域で活動の場を作るうえでの課題やその具体的な解決方法についても話し合いました。

・第6分科会:明日咲く花に思いをのせる~園芸が高齢者に与える効果~
10コーディネーターは各市町村の保健センターでの機能訓練教室等へのスタッフ派遣を行なう、在宅ケアサービス (株)LCウェルネス代表取締役 見野孝子氏、パネリストとして、三重県藤原町元町長 伊藤正俊 、静岡市農業協同組合 高齢者福祉課長 徳田孝氏、岐阜県園芸福祉サポーターとして介護老人保険施設と身障者施設にてサポート活動を行っている 酒井尚美 氏などで元気な人から介護が必要な人まで、園芸と関わる活動が高齢者の生きる力につながっています。高齢者が生き生きと農業公園づくりや菜園づくりに従事したり、園芸活動を行うデイサービスで楽しんでいる事例をとおして、その活動を支援する方法について話し合いがされました。

・第7分科会:園芸福祉を社会に根付かせるために
11コーディネーターは日本クラインガルテン研究会 幹事・事務局長 粕谷芳則氏、パネリストは静岡市の医療法人「秀慈会」(白萩病院、介護老人保健施設 萩の里)理事長 萩原秀男、NPO日本園芸福祉普及協会専務理事 近藤龍良氏、岐阜県立国際園芸アカデミー生 涯学習担当技術主査 井戸誠二氏、静岡県農業水産部 農業振興室長 遠藤徳良氏などによって、園芸福祉の活動の場をどのように作り出していくかについて、岐阜県や静岡県など行政での取り組み、日本園芸福祉普 及協会で目指すもの、受け皿となる地域の施設での事例を通して、園芸福祉士の必要性も含め実践の場づくりについて話し合われました。

●14:20 園芸福祉(ユニバーサル園芸)フオーラム
分科会に参加した大半の方が参加、テーブル付きで用意した会場を急遽イス席に変更せざるを得なくなるハプニングもあり、主催者にとってはうれしい悲鳴。最後まで熱心に意見交換が交わされました。

5県立田方農業高等学校教諭 久保田豊和氏がコーディネーターを努め、パネリストはNPO日本園芸福祉普及協 会専務理事 近藤龍良氏、シオンスガーデン所長 クレメント・ノーテンボーム氏、フォトジャーナリスト 大塚敦氏、静岡県園芸療法研究会 天野 一氏、京丸園園主 鈴木厚志氏、アドバイザーとして広島国際大学医療福祉学部教授・日本園芸福祉普及協会副理事長 吉長成恭氏によって「園芸福祉の定着と 条件整備へ」をテーマに、園芸福祉活動を今後も継続し、さらに拡大していくための地域とのつながりや経営管理・資金調達のあり方など、自立的に活動を推進 していくための方策について話し合われました。


9月4日(土)第3日目/周辺農家と浜名湖花博視察
●障害者雇用による農業経営を実践する現場視察 9:30
12【視察先の概要】
<京丸園> 農業経営における障害者の雇用。水耕ミツバ等を生産する農業組織であり、水耕部、土耕部、心耕部の3部を持つ。心耕部では、社員をジョブコーチ(園芸福祉士)として育成するとともに、障害者の作業を細分化・単純化し、トラブルに対応している。現在、障害者7名(4名の常雇と3名の研修生)を受け入れている。京丸ブランドの確立など先進的な経営に取組んでおり、第33回日本農業賞個別経営の部・特別賞を受賞している。

13<隆花園> 農業経営における障害者の受入。観葉鉢物を生産する農業組織であり、通院患者リハビリテーショ ン事業を含め、合計で6名の障害者を受け入れている。発根後の鉢上げ、肥料置き、除草、運搬作業等をそれぞれの適性、能力に応じて役割分担している。障害者の所属する生活支援施設の指導員が週に3回~3か月に1度指導にきているが、実質的には園主である新村氏がジョブコーチの役割を担っている。花博にも2万鉢の苗を出品している。

第3回 2003年8月29日(金)~31日(日) 北海道北広島市

第3回:北海道大会(2003年8月29日~31日)

大会趣旨:花によってまちは美しくなります。花を育てることによって人々は健康になります。花を媒介にして人々に会話が生れます。会話があるところにはコミュニティが生れます。コミュニティが生れると新たな様々なチャレンジ(例えば、生ゴミを堆肥化して花の土に使おうとか、花を通して子供たちと高齢者の交流の場を作ろうとか、花にちなんだ商品を作ってみようとか、花のイベントをやって見ようとか等々)が生れます。そして、まち全体が活性化します。このような一連のイメージが、少しずつかもしれませんが、各まちに浸透してきたのだと思います。
私たちは、北海道は日本の中で、園芸福祉のモデルとして最も相応しい地域だと思っていますし、将来的には全国の手本になれれば良いと思っています。そこ で、私たちはまず、わかり易い目標像として「ガーデンアイランド北海道」という言葉を掲げるとともに、全国各地から園芸福祉に携わる多くの皆さんをお迎えし、「ガーデンアイランド北海道」実現に向けて様々な角度から提言や議論していただくことを目的に、「第3回園芸福祉全国大会in北海道」を開催します。

大会次第
8月29日(金)北広島市・花ホール

13:00 開会式
(実行委員長挨拶、北広島市長挨拶、来賓挨拶)
13:20 基調講演:進士五十八(東京農業大学学長)

photo16「ガーデンアイランド・北の国構想」
15:00 シンポジウム
テーマ:「ガーデンアイランド北海道を目指して(仮題)」
コーディネーター 黒柳俊雄(北海道大学名誉教授)
パネリスト 井石八千代(NPO法人長崎さんさん21代表)
賀来宏和((株)グリーンダイナミック代表取締役)
紫竹昭葉(紫竹ガーデン代表)
庄司昭夫((株)アフレ代表取締役)
笠康三郎((有)緑花計画代表取締役)
コメンテイター 進士五十八(東京農業大学学長)
18:00 交流会
(プリンスホテルにて地元の食材を使った料理で持成す)

8月30日(土)北広島駅~恵庭リサーチビジネスパークセンタービル
09:00~12:00 視察会
北広島駅→北広島市(ガーデニング)→恵庭市子供ふれあ農園の収穫の様子、
photo15ガーデニング)→恵庭リサーチビジネスパーク
12:00~13:00 昼食
13:00~13:30 分科会開会式(恵庭市長挨拶、全体説明)
13:30~15:30 分科会
○「環境とまちづくり」  ○「花と元気」
○「園芸が取り持つ縁」  ○「花による経営戦略」
○「市民が取り組む園芸」
15:40~16:30 分科会のまとめ
*12:00~17:00 前庭及びロビーでは、各種園芸福祉関係の展示会を行う。

第2回 2002年11月8日(金)~10日(日) 長崎県長崎市

第2回:長崎県大会 2002年11月8日~10日

長崎大会は「新文化ー幕開け宣言!長崎発」をメインテーマとして、「第2回園芸福祉全国大会inながさき」が、ホテルニュー長崎を主会場に間開催されました。全国から約900名の方々が参加され、あらためて園芸福祉に対する関心の高さが感じられた大会でした。
初日の基調講演には、NHKの“趣味の園芸”でお馴染みの柳生真吾さんが登場、「園芸は愉しい」というテーマで、八ヶ岳での活動の様子やオランダでの取材 エピソード等を話され、柳生さんいわく、園芸の極意は「・その場所に足を運ぶこと、・植物と顔を会わせること、・自分を罠に嵌めること」だそうで、常に植 物の状態を気掛けることが大事だそうです。

 

photo13続いてのシンポジウムには、東京農業大学の進士学長(日本園芸福祉普及協会理事長)がコーディネーターとなり、「地域に活かす園芸福祉」と題し、名張市長 の亀井利克氏をはじめ、6名のパネリストが参加。進士学長は、「園芸福祉は皆で一緒に楽しくやる事が大事だが、またそれが大きな課題である。20世紀は文 明の時代だが、21世紀は文化の時代であり、特に地方の個性づくりや街の魅力をどう発信していくかが重要となってくる。

 

 

photo14それには“園芸福祉”を大いに活用してほしい。また、今までの枠組では捉えられない所に、新しい文化を創る新時代のあり方があり、最初のうちは戸惑いがあ るかもしれないが、花を作り、その花を生かし、それが一本ではなく、何百万本になった時、美しい国土になるだろう。そういう風に広がりを持った運動として 見てほしい。特に今回、世界に開かれた長崎・出島から、この新しい文化を発信できることは大いに意義深いこと」と閉めくくられました。

 

 

 

・園芸福祉のすすめ、・都市と農村交流、・高校生と園芸療法ボランティアの6つの分野に分かれ、15名の方から事例報告等がありましたが、各会場とも満 員、質疑応答も活発で、熱気ムンムンの分科会となりました。特に第六分科会では、高校生の参加があり、「地域における園芸療法の活動内容と問題点」とし て、三重県相可高校の生徒6名が5年間の活動成果の報告がありました。特に、今回は、参加者にも高校生等若者加が目立ちましたが、今後の園芸福祉の新たな 価値創造に大いに役立つことと思います。
また、一般の方にも、「園芸福祉」に身近に接していただこうと、かもめ広場を中心に、園芸福祉フェスタやデモガーデンの展示、「シーボルトと植物展」等も併催されました。

第1回 2001年11月9日(金)~11日(日) 三重県志摩市

■第1回:三重県大会 2001年11月9日~11日

第1回園芸福祉全国大会が農林水産省、厚生労働省、全国農業協同組合中央会の後援を受け、三重県志摩ロイヤルホテルで開催されました。会場には、38都道府県から行政・福祉・園芸・医療・教育・都市計画など幅広い分野から500人近い参加者があり、基調講演・シンポジウムでは手話通訳もつき、熱気あふれる大会となりました。
大会初日には、川上実行委員長の開会宣言からはじまり、北 川県知事の挨拶では、初めての園芸福祉全国大会が三重にて開催されることへの意義とあわせ、園芸福祉による地域づくりが全国に普及することへの期待を述べられました。

 

photo12基調講演は、女優の高木美保さんから「知ってますか、園芸福祉」というテーマで「園芸福祉とは、ごく普通に生活のなかにあって健康な人にとっても必要。とくに、植物に触れて体験することは、関心から感動を生み、自分自身が開放されて自然に生かされていることを実感できる」と、最初に挑戦したトマトの播種から実がなるまでや地元の方との交流などをドラマチックに、そして時おりユーモアを交えて話されました。

 

 

 

続いて、当協会の進士理事長がコーディネーターをつとめたシンポジウムでは、パネリストの小笠原誓氏(名古屋園芸株式会社専務)は消費者と接する立場から、萩原エリコさん(蓼科ハーバルノート)は病院でのボランティア活動を通して、松尾英輔氏(九州大学大学院教授)は人間と植物の関係を学究的な立場から、そして、高木美保さんも加わり、「園芸福祉の普及について」をテーマに様々な意見交換がされ、最後に進士会長から、「園芸福祉は、参加した人達が楽しむこと。これまでの生産性優先の農業から、暮らしのなかでの農業も考えるべき。都市のなかにもどんどん農地を増やし、時間をかけて楽しみながら農の持つ文化の多様性を見直す時を迎えている」と締めくくられました。

 

photo11翌日の分科会は、・知っていますか?「園芸福祉」、・身近なところに「園芸福祉」、・療法としての「園芸福祉」、・ガーデニングで心と体を癒しましょう、・子どもたちへ~園芸生活のすすめ~、・高齢者と農園の関わり、・はじめましょう!「園芸福祉」ボランティア、・これからの「園芸福祉」、・どうして花で癒されるの?、といったテーマ毎に、20~50人程度のグループに分かれて、活発な話し合いがされました。

ページの先頭へ戻る